異名は「移住ビザ」…取得要件厳格化の効果は
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- 11月9日
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異名「移住ビザ」取得要件厳格化の効果とは
日本で起業する外国人に向けた在留資格、経営・管理の取得要件が厳格化される直前、制度の緩さを突いた「駆け込み起業」とみられる動きが大阪市内で確認された。必要な資本金は諸外国と比べ割安で、異名は「移住ビザ」(専門家)。制度の悪用は地域住民との摩擦といった治安上のリスクや社会保険制度の「タダ乗り」にも直結し、是正が求められていた。厳格化は制度の悪用防止につながるのか。
■厳格化1週間前に急設立
大阪市東住吉区にある8階建ての雑居ビル。1階にはスポーツジムや飲食店が入り、上階には一般住民も暮らしているが、玄関の郵便受けを見ると違和感に気付く。
「410B○○株式会社」「605B××株式会社」「804B△△株式会社」。並ぶのは中国系の名を冠した企業ばかりだ。 会社登記簿を確認したところ、いずれも取得要件が厳格化される約1週間前に設立された法人だった。代表取締役の住所は中国と記されていた。
10月下旬の平日にビルを訪ねたが、法人が入居しているはずの部屋から応答はない。ビルに住む男性は「郵便受けの前で知らない言語で話している人をときどき見るが、多分ここでは活動していないと思う」と話した。
■社会保障制度狙いか
「恐らく全て移住目的のペーパーカンパニーだ。厳格化を前に『駆け込み起業』をしたのだろう」。阪南大国際学部の松村嘉久教授が指摘する。
経営・管理を取得すると3カ月~5年の滞在が可能で、家族の帯同や更新もできる。日本の手厚い社会保障制度を享受する目的で取得する中国人もいるとみられ、その保護範囲は帯同する家族にも及ぶ。
一部の中国人は日本語をほぼしゃべることができず、また文化の違いなどもある。大阪市内の一部地域では地元住民との摩擦も起きている。 「だから経営・管理は『移住ビザ』とも言われていた。
同様の資格を使った移住は諸外国では(取得に)数千万から数億円もかかる」と松村氏。必要な資本金とされていた「500万円以上」の要件は、前身の資格「投資・経営」の指針が定められた平成12年から四半世紀も据え置かれたままで、格安との指摘があった。
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