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生活保護の減額「違法」判決

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    3A
  • 11月19日
  • 読了時間: 2分

生活保護費の減額「違法」判決とは

政府が2023~15年に生活保護費を大幅に引き下げたことを違法とする最高裁判決を受け、高市早苗首相が国会で「深く反省し、おわびする」と述べた。誤った政策の謝罪は当然だが、補償など救済策を示さない限り、真に反省したことにはならない。


生活保護費の引き下げは、2012年9月の自民党総裁選で当選した安倍晋三氏が主張し、同年12月の衆院選の党公約に原則1割カットを盛り込んだことがきっかけだ。自民党の政権復帰を受け、政府は食費や光熱水費などに充てる生活扶助を最大10%引き下げた。


生活保護費は通常、専門家らの審議会で、社会経済状況の変化に合わせて複数の指標を使って給付水準を調整する。


最高裁は、低所得世帯と給付水準の均衡を図る調整手法は違法としなかったが、引き下げに当たり新たに採用した物価変動で調整する手法は審議会などに諮られておらず、国に「裁量権の逸脱や乱用があった」として違法と判断した。

 この判決を受け、原告は引き下げ前と比べた減額分の全額支給を求めているのに対し、政府は全額補償に否定的。厚生労働省は有識者らによる専門委員会を設置し、別の手法を採用して、あらためて水準を引き下げる方向で見直しを検討している。


生活保護は憲法が保障する生存権を守る最後の安全網だ。専門家の検討は必要だが、保護費で命をつないできた人々に苦境を強いた事実を重く受け止めるべきだ。厚労省の水準見直しは同じ当事者間による「紛争の蒸し返し」を禁じる法的問題も懸念される。

 

政府は原告の声に誠実に耳を傾けるべきではないか。苦境に直面した場合、誰もが生活保護を安心して利用できるよう、制度への信頼を高める責任は政府にある。

 

高市首相が衆院予算委員会で謝罪したのは判決から4カ月以上たった今月7日。石破茂前政権では首相の謝罪には至らなかった。

 

高市首相は、保護費引き下げによる被害の救済に指導力を発揮することはもちろん、なぜ当時、引き下げに踏み切ったのかを検証する責任も果たすべきである。


 
 
 

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